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2006年08月02日

◇黒鯛記◇ 第1回【夏の夜】

釣り座から約10m。
左にゆっくりと流れていた電気浮きの赤い光が不意に視界から消えた。
海中で怪しく灯る赤い光が一気に見えなくなり、スプールから糸が引き出される。
チヌだ!

しばらくすると、親父が難敵を取り込んで戻ってきた。
懐中電灯を当ててみると、そこには銀色に光るチヌが横たわっていた。
不意にバタバタと暴れる以外は、まるで観念したかのような寂しそうな顔つきをしていたし、時々、クウクウと喉を鳴らしていた。

親父は言った。
チヌは、2回目で合わせるんじゃと。

親父が得意としていたのは、探り釣りと呼ばれる釣りだ。
長尺ののべ竿にハリスを直結し、小さなジンタンに針を付けただけの簡素な仕掛け。
餌は青虫と呼ばれるゴカイ。
地域によって呼び名が異なるこの餌は、当時、韓国や朝鮮から輸入したものだったらしい。

青虫は体長が長く、口も大きい。
さらに元気で弱りにくい。
水中では、体の一部が光るようで、チヌの目には留まりやすいらしく、特に夏の夜釣りでは定番の餌だったようだ。

青虫の先端を摘むように持っていると、苦しくなるのか、時折大きく口を開ける。
その瞬間を狙って、チヌ針を差し込む。
一気に針を返して、固定すると、青虫は、痛みに悶絶しながら体をくねらせている。

静かに仕掛けを振り込み、文字通り、海中を誘うように上下動させる。
あたりがなければ数歩移動し、同様の動きを繰り返していく。
と、その時、不意にのべ竿の先端に、衝撃が一瞬走る。
しかし、ここで合わせると、殆ど掛からないというのだ。

反射的に合わせようとする右腕にブレーキをかけて、さらに待つと、今度はぐっと重くなる。
これが本アタリで、一気に腕を振り上げて、チヌとの勝負が始まるというわけだ。
竿が満月に曲がるという表現があるが、親父の様子を見ていると、殆ど竿が折れていると思えるくらいの曲がりようである。
実際に、折れた、ということもしばしばあったようで、家に帰ってから、寂しそうに、折れた竿を眺めていることもあった。

大きなチヌを取り込むには、時間を掛けるしかない。
走り回るチヌの動きを読んで、竿を前後左右に振り回し、弱るのを待つ。
油断は大敵で、一瞬でも気を許すと、糸が切れてしまうのである。

しばらく見ていると、チヌが海面を尻尾でたたく音がする。
ついにやったんだなと子どもながらに思う。
このような原風景は、今でもはっきりと思い出すことができる。

チヌを釣りながら、ふと昔を思い出す。
道具は変わったが、チヌを釣るという行為は不変のものだ。
親から子へ、子から孫へ。
延々と繋がるチヌ釣りの世界。
まさしく、黒鯛記なのである。


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